はじめまして、静かな旅路のはじまり
お茶との出会い
遠い昔から、人は静かに火を焚き、その湯気の中にさまざまな物語を見てきました。わたしにとって、その物語はいつもコーヒーの中にあったのだと思います。
けれど、昨年の夏、わたしはもうひとつの扉を開けることになりました。
わたしは中国で生まれ、日本で育った在日中国人です。こどもの頃から日本で生活してきたわたしは、自身のアイデンティティに悩んだ時期もありましたが、今はどちらの国も同じくらいに好きです。まるで、お茶とコーヒーをどちらも好きになれたように。
その夏のことはよく覚えています。家族との久しぶりの帰郷で、中国の街を歩くと、若者たちの手に、色鮮やかなお茶が握られていました。日本でも徐々に浸透してきていたティードリンクでしたが、中国ではもっとポピュラーな飲み物でした。初めて口にしたその味やコンセプトに、深く感動したのを覚えています。
それが、わたしの「お茶の旅」のはじまりでした。
日本に戻り、改めてお茶と向き合ってみようと思いました。手にしたのは、ごくシンプルな茶器と、香しい茶葉。湯を沸かし、ゆっくりと注ぐ。それは、たった数分の静かな時間でした。でも、その時間が、わたしの中に深い静けさをもたらすことに気づいたのです。毎日を駆け抜けてきた自分の足跡を、ふと立ち止まって見つめ直すような、そんな時間でした。
わたしの「お茶の旅」
わたしがこのブログを始めたのは、まだ知らないお茶の世界が、あまりにも広大に感じられたからです。中国茶だけでなく、静けさを纏う日本茶、華やかで奥深い台湾茶。わたしが歩いてきた道とは違う、まだ見ぬ世界がそこには広がっていました。それは、まだ誰も足を踏み入れたことのない森の奥へ分け入るような、静かな冒険です。
日本で見つけられるお茶の情報は少なく、専門的で複雑なものも多いのが現状です。きっと、わたしと同じように情報に困っている人や、より手軽な情報を求めている人がいるはず。だからこそ、わたしはこのブログを始めました。
ここは、わたしがその旅で見つけた小さな光や、風のささやきを綴っていく場所です。難しい知識や専門的な言葉は、この旅の途中で自然と身についていくでしょう。まずは、わたしが感じた「美しい」「美味しい」「心地よい」という素直な気持ちを、そのまま皆さんに伝えたいのです。
この旅に、あなたも
コーヒーがそうであったように、いつかお茶も、もっと自由に、もっと多様に、わたしたちの暮らしに溶け込んでいく日が来るかもしれません。このブログが、その小さなきっかけの一つになればと願っています。
旅は、いつも誰かとの出会いから始まります。わたしと同じように、お茶の世界に興味を持ったあなたとの出会いを、心から楽しみにしています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。