秋の訪れと、お茶の静かな時間
あれだけ長く暑かった夏がようやく終わりをつげ、少しばかりの秋を感じさせる季節となりました。 せっかく暑さが和らいだのに、今度は急ぎ足の寒気が秋を通り越さんとする勢いでやってきましたね。 関東では雨が数日続きましたが、ようやく清々しい秋晴れが見られた今日この頃です。
道路を散歩して、大きく深呼吸をして空気を吸い込むと、鼻をくすぐる涼しい風と、どこか物憂げな土の香り。 「あぁ、秋が来たんだな」と、季節の移ろいの香りを感じます。凛とする空気の冷たさが心地いい。
木々の葉も衣替えをしたように、深い緑色から鮮やかな薄黄色へと変化していきます。日常の中でも、四季の移ろいを肌で感じられることは、日本に住む良さのひとつだと思います。 この移りゆく景色を眺めていると、心も自然と落ち着きを取り戻すようです。
さて、肌寒くなってきたことは同時に、暖かなお茶が「ほっ」と心を和ませてくれる季節の到来でもあります。 熱い湯で淹れたお茶を両手で包み込む温もりは、何物にも代えがたい安らぎを与えてくれますね。この季節の変わり目に、温かい一杯は心身に優しく染みわたります。
お気に入りの湯呑みで緑茶を淹れ、いただきものの茶菓子と合わせていただきます。 この静かな時間こそ、秋を深く味わう贅沢。 心が和らぎ、秋の深まりを感じながら、同時に年の瀬までのわずかな今年という時間も大切に惜しむばかりです。 どうぞ皆様も、暖かな一杯で心穏やかな時間をお過ごしください。