どちらかではなく、どちらもいい。
コーヒーとお茶とわたし。
コーヒーとお茶、この二つはよく対比されます。片方は「日常」の象徴、もう片方は「非日常」の象徴と捉えられることもあるでしょう。しかし、わたしにとって、この二つは敵対するものではなく、互いに共存し、日々の暮らしに静かな彩りを与えてくれる大切な相棒です。
動と静、二つのリズム
わたしは、コーヒーとお茶を「動」と「静」という二つの言葉で考えています。
コーヒーは、わたしたちの意識を「動」の状態へと導いてくれる存在。その力強い風味とカフェインがもたらす覚醒効果は、朝の光を浴びるように、一日を始めるためのスイッチを押してくれます。わたし自身、コーヒーを飲むと目が冴えすぎてしまうため、朝の一杯として、その力強さを楽しんでいます。
一方、お茶は「静」の時間を紡いでくれます。カフェインを含みながらも、心身をリラックスさせるテアニンという成分を持つお茶は、昼下がりや午後のひとときに最適です。読書をしたり、窓の外を眺めたりする、そんな静かな時間のお供に、お茶はそっと寄り添ってくれます。
このように、コーヒーとお茶は、時間帯によって自然と棲み分けができるのです。
時間を味わう、二つの方法
どちらも丁寧に淹れることができる飲み物ですが、「時間を丁寧に使う」という意味合いでは、お茶に軍配が上がると感じます。
手軽にさっと淹れるならコーヒーが適していますが、茶葉がゆっくりと開いていく様子を眺め、香りや色の変化をじっくりと楽しむお茶は、それ自体が豊かな時間です。まるで時間を味わうように、お茶の時間を楽しむことができるのです。
敵対しない、だから共存する
近年、海外ではコーヒーとお茶をブレンドした「コーヒー茶」が流行しています。わたしは、これこそがお茶とコーヒーの共存を象徴する、ひとつの形だと感じています。
コーヒーが持つ覚醒効果と健康効果。お茶が持つリラックス効果と健康効果。これらは、相反するものではなく、互いの良い面を引き出し合うことができるのです。
わたし自身、もともとコーヒーが好きでしたが、それはお茶を好きになってコーヒーが嫌いになったわけではありません。コーヒーもお茶も、どちらも好きなのです。
どちらか一つが良い、というのではなく、どちらも良い。それが、わたしにとっての最適解です。